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月刊薬膳コラム
■ 程さんの月刊薬膳コラム8月号 ■
「『浪花の技展』で職人技を体験してきました。」

夏真っ盛りの8月、元気にお過ごしですか? 真夏でも職人さんたちは元気です。先月7月も、大阪・梅田の阪神百貨店の催し物会場で「浪花の技展」が開かれていました。大阪近郊に伝わるさまざまな職人芸を、多くのみなさんに知ってもらおうという企画で、展示、実演、体験教室が大盛況でした。今回は、その取材のお話を。

 地元大阪の街でずっと愛され続け、受け継がれてきた伝統工芸品の数々を職人さんの実演を交えながら紹介する…これが「浪花の技展」です。(阪神百貨店の催し会場にて・7月19日まで)

出展されていたのは、「浪華本染めゆかた・手ぬぐい」「大阪金剛簾」「和泉蜻蛉玉」「天満切子」「大阪唐木指物」「大阪仏壇」「大阪張り子」「だんじり工芸」などなど。どれも、まさに伝統のなせる技の集大成。

なんと言っても魅力は実際に、職人技を体験できることです。せっかくの機会ですから、私も、堺の名物「堺打刃物」の包丁のとぎかたに挑戦してみました。もちろん、料理人ですから包丁をとぐのは日常の仕事。でも、ちゃんと本職の方に教えていただくのは初めてでした。教えていただいたのは、伝統工芸師の肩書きを持つ、松尾清さん。これまでも、堺の催しで何度かお目にかかってきた方です。

 まず、昔と違うのは砥石。昔は天然物がふつうでしたが、いまは、人工砥石が主流。なにしろ、天然物になると数十万円もするそうですから、いくらプロといってもなかなか手が出ません。

が、人工のもので十分とうかがいました。形は四角に整形されているので使いがってがよく、また、研ぎ味も変わらないとか。素人にはもったいないくらいと、松尾さん。

さっそく、和包丁をあずかり砥石にあててみるのですが、まず、角度が違う、もっと寝かせて…と厳しい指導が飛びます。いい砥石ならば、ほんの数分もあれば、包丁は、買ったばかりの切れ味を取り戻せるそうです。
力を入れすぎず、丁寧に心を込めて。なるほど、みるみるうちに包丁が生き返ってくるのがわかります。最後に、研いだ時にできる“返り”をとってできあがり。決して難しくはありません。が、このところ、家庭で砥石を使うことは減ってきています。包丁も使い捨てのような感じで、次々と新しいのを買い換えたりする方も…。

が、いい包丁を丁寧に扱えば、それこそ、刃先がなくなるまで30年は使えると伺いました。こうした技が、なかなか伝承されていかない。これが大問題。せっかくの堺の名匠がこころを込めて作った、刃物を大事にしてください、とも。

まさにおっしゃるとおりです。中途半端な使い捨てのもので、もの本来の魅力にふれることなく、最低限の機能だけで満足する。そういう時代にあって、本物を末永く、本物のもつ味わいを、未来に繋げていきたいという松尾さんの思いにふれました。

 この堺の包丁以外にも、蜻蛉玉、指物、だんじり工芸、絵付け、べっ甲、和紙などなど、数々のすばらしい職人芸に、直にふれあえる、こうした催しは、この阪神百貨店に限らず、各地でいろいろ開催され、いずれも好評を博しています。

デジタル化の果ての、職人芸の消滅を危惧するというとおおげさですが、ぜひ、身近にも、こんなにも立派な技があふれていることを、機会があれば、体験してみてください。ものに対する考えが変わります。そして、それは日々の食や生活に対する考え方をも変化させるのではないかと私は思います。



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