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月刊薬膳コラム
■ 程さんの月刊薬膳コラム3月号 ■
幻の珍味「間人蟹(たいざがに)」

京都府北部の京丹後市・間人港(たいざこう)でとれたズワイガニを間人蟹(たいざがに)と呼びます。冬の味覚の中でも、「幻の」という形容詞がふさわしい逸品です。今回、取材で現地にうかがいました。そのレポートを。

日本人にとって、冬の味覚の代名詞となっているカニ。ことに越前地方のカニは珍重されますが、中でも京都府北部の京丹後市・間人港(たいざこう)でとれたズワイガニは間人蟹と呼ばれ、なかなか口にすることができないとされます。

今回は取材で、本場・間人港を訪れました。美味の秘密にふれるためです。まず、ここ間人港の漁船によって獲れたものだけを間人蟹といいます。漁船はわずか5隻。20トン未満の小型船で、乗り込めるのは船長を含めて6人。たったこれだけの漁師のみなさんが獲ったものだけが、間人蟹というブランドを名乗ることができるのですから、確かに幻の美味になるでしょう。

深夜1時に港を出て、沖合30キロの海に。そこで12時間ばかりかけて漁をします。ここの漁船はどれも冷凍設備を持っていないので、新鮮なまま午後の3時には港の市場に並びます。間違いなく間人港で獲れたことを証明するためにグリーンのタグがつけられます。平仮名で「たいざ」の文字。これが正真正銘の証です。

日本海側では福井県、京都府、兵庫県と広い範囲でカニが獲れますが、それらはどれも港の近場。間人だけが沖合で獲れるそうです。その漁場は海面下250〜300メートル。プランクトンがよく繁殖しているのが、うま味の秘密だとか。

美食で知られる作家・開高健も愛した間人の蟹。カニのうま味をなくさないために、ゆがき方にも工夫があります。まず薄暗いところで20分間、真水につけます。すると、カニは仮死状態になって、生きのびようと体内の不純物をはき出します。これはライトグレーの色で、まさに不要物という感じがします。

いかに、カニ本来のうま味を逃さないようにするか。それは、カニ選びの段階から始まっています。たとえば、よく脚のちぎれたカニをみかけますが、これは、脚の穴から、うま味が流れ出しているのでダメ。が、脚がもげていても、その穴がふさがっていれば、大丈夫。つまり、海の中で脚がなくなったなら、再生能力で穴は閉じているはず。穴が見えるのは、漁のときに失った場合が多い。そういうところがポイントです。

さて、不純物をはき出したカニを、今度は熱湯に入れます。袴の付いた大鍋。塩は海水と同じくらいの3%ほど。これが一番うま味が逃げないのだそうです。ここで15分。引き上げて冷水につけ、身を引き締めます。

ほかにも、カニをおいしくいただくために、生きたカニは絶対に仰向けにしか置かない。普通にすると動く。動くとまずくなる。そういうことらしいのです。

いただきかたは個人の好みでしょう。焼くもよし、ゆでるもよし、刺身も捨てがたいし、おまけに、しゃぶしゃぶや鍋もいい。熱湯に落とすと、松葉ガニ(間人蟹もその一種)の名前の由来通り、まるで、松の葉のように身が広がると、もう口の方からお迎えに行くほかありませんね。味は絶品としかいいようがありません。

さすがに珍味らしく、お値段も張ります。漁港での価格はだいたい600gで6000円。1キロだと1万円を超えます。ですから、1泊2食付きで1万円台の民宿では無理な相談です。その手の宿ではロシアの漁船が獲った冷凍ものしか提供できません。ほんとうのほんものの間人蟹を味わいたいとなると、4万から5万は覚悟しないといけないでしょう。

贅沢の極みといえば、それまでですが、せっかく日本人に生まれたからには一生に一度、味わってみたいものですね。天の恵みに感謝した冬の旅になりました。



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